Web制作の案件が始まるとき、アクセシビリティの確認項目や会社のデザイン規則を、チームが使うAIエージェントにも共有したい。そんな準備に使える道具として考えられるのが、Vercelのskills CLIです。
公開リポジトリの説明によると、エージェント向けのSkillsを探し、追加し、一覧表示し、更新できます。SkillsはAIに持たせる作業上の知識や手順、CLIは文字のコマンドで操作するツール、と捉えると用途をイメージしやすいでしょう。Skillsを探せるskills.shのカタログともつながっています。
案件の手順と、個人で使う手順を分けて用意する
Vercelの説明では、Skillsはプロジェクト単位でも、利用者の環境にも追加できます。対応する複数のエージェントで使うことを想定しています。
この追加先の違いは、チームで手順をそろえるときに役立ちそうです。たとえば、案件固有の確認手順はプロジェクトに、個人が日常的に使う手順は利用者の環境に置く、といった分け方が考えられます。
ただし、利用するクライアントによって対応機能が異なる場合があります。共通のSkillsを用意しても、すべてのエージェントが同じように動くとは限りません。担当者がそれぞれの道具を使いながら手順を共有するには、必要な機能が各自の環境で動くかを確かめる必要があります。
Web制作では、確認表と照らして採用する
たとえばWeb制作会社のディレクターが、会社のデザイン規則と案件のアクセシビリティ確認表を使い、採用するSkillsを選ぶ場面を考えてみます。アクセシビリティとは、障害の有無などにかかわらず情報や機能を利用できるようにすることです。
カタログで候補を探したら、その内容を確認表と照らし合わせます。自社で必要としている確認が含まれているか、案件の方針と合わない指示がないかを読み、採用するものを案件のリポジトリ、つまり制作物や関連ファイルを管理する場所へ追加する運用が考えられます。
担当者は、制作中のページを確認する際に、そのSkillsを使うことを検討できます。毎回それぞれがAIへの指示を考える作業の一部を、案件の開始時に共通の手順を選び、確かめる作業へ移せる可能性があります。
その際、ディレクターが決めておきたいのは、AIに何を確認させ、どの判断を人が引き受けるかです。たとえば、AIの確認結果は修正候補の洗い出しに使い、ブランドの意図に合うか、案件の要件を満たすかは担当者が判断する運用が考えられます。共通の手順を持つことで、確認の出発点をそろえる狙いです。これは想定する使い方であり、実際の導入成果を示すものではありません。
更新するときも、案件に合うかを判断する
公開リポジトリでは、カタログへの掲載や人気の高さは、安全性や品質の認証ではないと説明されています。候補を見つけた後には、提供元と内容を確かめ、案件に必要な手順かを判断する工程を設けたいところです。
導入時には、チームが使うクライアントで必要な機能が動くかも確認します。更新時は差分を読み、確認項目や指示がどう変わるかを見てから取り込む運用が考えられます。skills CLIには一覧表示と更新の機能がありますが、更新内容が案件に適しているかは担当者の判断として残ります。
共通のSkillsを扱う担当者を決めておけば、変更を誰が確認するかも明確になります。Web制作で試すなら、まず一つの案件の確認表を使い、Skillsで共有できる手順と人が判断する項目を整理するところから始められそうです。