Vercelは2026年2月3日、実運用アプリに向けた新しいv0を発表しました。同社は、企画担当者が要件文書から試作すること、デザイナーが実際のコードを編集すること、営業がデモを用意することを利用例に挙げています。この発表を振り返ると、企画を開発チームに伝える方法として、文章に加えて動かせる画面を使う可能性が見えてきます。

たとえば、型番を入力して在庫を調べ、そのまま取り置きを依頼する画面を考える場合です。操作できる試作があれば、検索結果に何を表示し、依頼までにどんな手順を挟むかを、営業と開発が同じ画面で確かめながら話せそうです。

既存のコードや設定を取り込める実行環境

やりたい仕事:利用場面と条件を伝える。動く試作:操作できる画面で確かめる。開発につなぐ:既存のコードや環境へ。試作の完成と、本番運用の確認は別の工程

Vercelが説明するのは、sandboxという、プログラムを隔離して動かす仕組みを基盤にした実行環境です。GitHubのリポジトリ、つまりコードを管理する場所から既存のコードを取り込み、Vercelの環境変数や設定を取得できるとしています。環境変数は、接続先など、アプリの動作に必要な値を外から渡すために使います。

既存のコードや設定を扱えることは、試作をどこまで実装に引き継げるか、開発担当者と検討する足掛かりになると考えられます。ただし、これは発表内容からの見立てです。個々のシステムへの適合性や、作業時間の短縮を確認した結果ではありません。

同社の説明は、公開時の保護、アクセス制御、企業システムとの接続にも及びます。実際の業務で使う段階を視野に入れていますが、こうした説明だけで、どのアプリも自動的に安全になることや、開発担当者の確認が不要になることまでは言えません。

在庫照会の案を、営業と開発が一緒に触る

BtoBの部品商社なら、営業担当者が在庫照会画面を提案する場面が考えられます。材料にするのは、型番を探す条件、検索結果に表示したい項目、取り置き依頼までの手順を書いた要件文書と、架空の型番や在庫数を入れたサンプルデータです。これは実際の導入事例ではなく、発表された用途を仕事に当てはめた例です。

試作を見ながらなら、型番検索、在庫の表示、取り置き依頼のうち、最初の開発でどこまで必要かを具体的に話し合えそうです。営業は商談中に知りたい情報がそろうかを確かめ、開発チームは各操作に必要なデータや処理を検討します。

在庫数が分かれば受注できるのか、取り置き依頼を送った後に誰の確認が必要なのか。画面を動かすことで、要件文書を読むだけでは見過ごしていた問いが出てくる可能性もあります。試作には、見た目を伝える役割に加え、関係者が判断すべき箇所を見つける価値があると考えられます。

本番の在庫をつなぐときは、業務のルールも決める

この例で顧客ごとの価格や本番の在庫を扱うなら、実装担当者と設計を詰める必要があります。利用者が誰かを確認する認証と、閲覧・操作できる範囲を定める権限の設計によって、誰がどの顧客の価格を見られるかを決めます。在庫データへの接続方法や、取り置き操作で誤った更新が起きないようにする対策も検討対象です。

営業側にも判断が残ります。画面に表示する在庫は、すぐに販売できる数なのか。依頼を送った時点で取り置きが成立するのか。こうしたルールが定まらなければ、画面を操作できても、業務の手順は決まりません。

企画にv0を取り入れるなら、まずサンプルデータで動く案を作り、使う人と実装する人が一緒に要件を確かめる進め方が考えられます。その場で出た疑問を、画面の修正で解決するものと、データや業務ルールの設計が必要なものに整理すれば、次に誰が何を決めるかまで相談を進められそうです。